平成30年 最優秀賞 若見匠 祐助
(平成30年5月29日(火)開催 定時会員総会表彰式にて)
このたびは、思いがけずも、素晴らしい賞を賜る光栄に浴しました。心よりお礼申しあげます。
ご審査くださいました先生がたはじめ、運営にあたってくださいました事務方の皆さまほか、多くのお骨折りのおかげさまで、わたくしは今、この場に立たせていただいていると思っております。どうもありがとうございます。
今この場で、改めて想われますのは、じつにじつに多くの、まさに奇跡とも思える幸運な出逢いに支えられた今日までであった、ということでございます。かずかずのありがたいお顔や、なつかしいお顔が、折り重なるように思い浮んでまいります。
まずは、恩師猿若吉代先生。実の息子のように可愛がっていただいております。お稽古のたびに、「心よ、心で踊るのよ」と教えられてまいりました。お教えいただいて十数年、その意味がほんの少々解りかけてきた昨今でございます。踊りのみならず、人としての生きかたの面でも、先生はわたくしの憧れでございます。
そして、この新春舞踊大会へとお導きくださいました市山松翁先生。惜しくも昨年ご逝去あそばされました。受賞の報告をじかに申しあげられぬことは、まことに残念でございますが、改めてこの場でご冥福をお祈りさせていただきますことをお許し願いたくぞんじます。先生、本当にありがとうございました。
次に、わたくしが日本舞踊への志を固めました大きなきっかけは、日本大学芸術学部への入学でございます。それまでろくにお扇子を手にすることすらなかったわたくしは、右も左も判らず、とにかく踊りが楽しいという、ただ単純にそれだけの、いやはや向こう見ずとも無鉄砲ともいえる状態でございました。そんなわたくしを大学の先生がたはご親切にご指導くださり、またその間に知り合いました愉快な仲間たちの助けもありまして、つねに日本舞踊を身近に感じつつ生きてこられましたことは、まことに幸せでございました。初志とでも申しますか、日本舞踊が大好きという気持ちは、今日なおいささかも色褪せてはおりません。むろんその頃から、新春舞踊大会は一途な憧れであり、夢でもございました。
さらに、さらにさらに、幼稚園時代から小中高と、どういうわけかわたくしは、得がたい恩師とかけがえのない仲間とに、恵まれてまいりました。そのことが今のわたくしの踊りに、かならずや良き影響を及ぼしているに違いないと、わたくしは信じて疑いません。
こうした晴れの場に立たせていただいて、改めてお礼申しあげたいかたは、となりますと、数えきれないという想いでございます。
お見かけのとおり、何ごとにつけ至らぬ未熟者ではございますが、かずかずの御恩への感謝と初志とを、片時たりとも忘れることなく、ひたすら精進に励んでまいります。どうか今後ともお変りなく、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申しあげます。
最後に私ごとで恐縮にぞんじますが、いつも暖かく支えてくれております家族一同にも、ささやかに感謝を申し述べますことを、どうかお許しください。 本日はどうもありがとうございました。